第1回「無いものは創る~特別なことから自然なことへ シフトチェンジ~」

2018.10.3

第1回「無いものは創る~特別なことから自然なことへ シフトチェンジ~」

第1回 「無いものは創る~特別なことから自然なことへ シフトチェンジ~」

『私のストーリー ~過去から今、そして未来へ~』

 

著者:坂下 美渉(さかした みさ)氏 プロフィール

特定非営利活動法人あきた結いネット理事長

 社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士、相談支援専門員。秋田市地域福祉活動計画策定委員、秋田県児童会館運営委員。

  高齢福祉・司法福祉分野で働いた経験を活かし、平成25年10月にNPO法人設立。「秋田県で困っている人なくそう!!」をスローガンに身寄りのない方や生活困窮者、障がい者の支援に携わっている。長い物に巻かれることを嫌い、『声なき声』と向き合うことに全力を尽くす。今年(平成30年)で40歳。人生の折り返し地点!

 

 

 

はじめに

 私はここ数週間、仕事をしていても読書をしていても、このコラムのことが頭から離れず、珍しくジタバタしていました。普段は、「想定の範囲内」が口癖の気の強い女なんです。

 文章を書くことは嫌いではないけれど、できれば読んでくださる皆さまにときどきクスっと笑いを提供し、時にはガツン!と熱い想いを届けたいと欲張りな気持ちを増殖させながらの第1回目。

 私のストーリーをお伝えすることできっと皆さんの心に残る「何か」をお届けすることができるのではないかと思っています。

 私は現在、NPO法人の理事長としてホームレス支援や障がい福祉サービス、罪を犯した人たちの受け入れや就労支援、身寄りのない方が利用できる身元保証事業などを展開しています。秋田県内で唯一のホームレス支援団体です。

 

私の仲間について

 スタッフは13人、ボランティアさんも多数います。NPO法人に就職しようと考えるスタッフですから、一人ひとり個性が強く(これは私の偏見かな!?)、熱すぎる情熱に火傷しそうになりながら残業、休日出勤を厭わないスタッフの労務管理に頭を悩ませる日々です。

 

私たちの事業について

 法人設立当初から現在の事業展開を想定していたのかというと、答えは「NO」です。

 正直な話、気がついたらいまのような活動をしていたといったほうが良いかもしれませんね。地域の課題に向き合い、制度の狭間を見つめ続けた結果、本当に必要とされている取組に気づくことができました。自分達が取り組みたいことを事業にするのではなく、地域の声を事業化することに専念した結果、自分達の想定を超えた事業展開となってしまった感じです。

 私たちの事業展開の基礎には、当事者の声を聴く取組があり、その多くはアンケート調査・聴き取り調査という形で実施されています。

 

私自身について

 私は母子家庭で育ち、数えきれないほど大変な経験をしています。差別、偏見、不平等はいつも私の隣に存在していました。しかし、その経験が現在のNPO法人運営に役立ち、誰かの心に響く「何か」を届けることができるのだと思うし、これらの経験は私の宝だと考えています。

 他人が自分のことをどう評価しようと、「過ぎ去った日々を自分自身がどのように意味づけするか」、それがとても大切だと考えます。自分は不幸だと思えば不幸だろうし、良い経験ができたと思えば、それは自分の強みになります。

 皆さまは、どのような家庭に生まれ育とうと、過去に大きな失敗をしようと、人生はいつでも「やり直し」「生き直し」ができる、そんな世の中だったら幸せだと思いませんか?

 私はそう考えるし、人生の再スタートを望む人がいるのであれば、必ず応援したい。方法を一緒に考えたい。その方の人生を見守りたい。人間はたった一人でも、自分のことを理解する存在があれば、前に進むことができます。「あきた結いネット」は地域において、そんな存在でありたいと考え設立しました。

 ここで私の人間性が良く分かるエピソードを一つ。全く自慢話ではありませんが、私は一つの職場で長く働くことができない人間でした。ストレスが溜まって離職してしまうのです。離職の原因は、納得してから行動したいという私の行動特性だったと理解しています。

 

私「これは何のためにやっているのですか?」

上司「決まりごとだからやっています。」

私「何故、決まりごとになったのですか?説明をお願いします。」

上司「上が決めたことなので、黙ってやってください。」

私「…。」

 黙ってはいられませんよ。

 上が決めたことだからっていうのは説明になっていますか?私はこの決まりごとができた理由を知り、自身の仕事に責任を持ちたいのです。いま振り返ってみると「なんでなんで人間」だった私は、事業所内では厄介な存在になっていたことでしょう。間違いないです、きっと。

 しかし、NPO法人設立を考えた頃に勤務していた社会福祉法人では、私の「なんでなんで」を受け止め、一緒に考えてくださる上司がいました。実際は私の上を行く「なんでなんで人間」だったので、「坂下さん、なんでそう考えたの?根拠は何?」と聞かれてドキッとしたりしました。そこで繰り広げられる意見交換は、とても楽しい時間でしたし、問いに答えることで、自分の中にある思いを整理、言語化する訓練となりました。

 

あきた結いネットについて

 あきた結いネットの行動指針のなかに「私たちは、主体的に動く必要性を知っている」というものがあります。主体的に動くとは自分の考え、判断によって行動することであり、かかわる利用者さますべてに責任を持つことでもあります。主体的に動くためには、スタッフ一人ひとりが法人の理念やビジョン、利用者様のニーズ等を常に把握する必要があると考えています。だからこそ、管理的業務に就く人間は、常に現場の疑問に応えられるような準備が必要ですし、経営者と同じレベルで法人の志を説明できなければいけません。

 あきた結いネットでは、通称ブラックメール(スタッフがそう感じているかなと思い私が名づけました)というものがあり、法人メーリングリストを活用し、全職員に課題を出します。先日の課題は、「行動指針〇番の基本となる考えを説明しなさい」というものでした。法人の理念やビジョン、行動指針を含めた「思いの共有」は、入社時のみ行えば良いものではなく、通常業務のなかに組みこむ!その積み重ねを重要視し、私は組織運営をしています。

 

最後に

 私はいまも昔も、おかしいと思うことがあったら黙って見過ごすことはしません。いや、できない性格です。それが私や法人の持ち味となっています。福祉の現場では、厄介者だった(?)私がいまではNPO分野で先駆者やら、起業家やらと呼ばれ、こうやってコラムを書いたり講演をしたりしています。不思議なものです。

 ただし、「おかしい」と訴えるだけではなく、ネットワークを構築して行政や職能団体、地域住民、企業とともに地域課題と向き合っています。「言うは易く行うは難し」ということわざが意味するように、言うだけならだれにでもできます。言うだけじゃないのが、あきた結いネット。詳しくは2回目以降のコラムでお話します。お楽しみに。

 これから半年にわたって、皆さんにお届けするコラム。第1回目では、私のストーリーをいくつかのエピソードでお伝えしました。楽しんでいただけましたか?そして全6回のコラムでは、それぞれ最後に皆さんの心に問いかけるお題を準備しています。

 

 第1回目のお題はこちら。

 「あなたがいまの仕事を始めたときの志を覚えていますか?」

 もう忘れてしまった人もいるかもしれません。しかし、数ある職種のなかで現職を選んだのは間違いなくあなたです。あなたのなかに、いまでもそのころの気持ちは残っていますか?繰り返される日常のなかで、少しずつ忘れてしまっていませんか?

 マザーテレサの言葉に、次のようなものがあります。

 「私たちのしていることは大海の一滴に過ぎません。だけど、私たちがやめたら確実に一滴が減るのです。」

 志のとおりに仕事を進めることは難しいかもしれません。自分の仕事に何の価値も感じない時があるかもしれません。でも、諦めることを選択した瞬間、もうそれ以上前に進むことができないのです。諦めることを選択しなければ、未来はこれからも続いていきます。5年後、10年後、自分のストーリーを振り返ったとき、誇れるものでありたい。私はそうでありたいし、皆さんにもそうであって欲しいと願っています。

 

 

 

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 お題への回答や、本コラムを読んで坂下さまに聞きたいことなど、事務局までどしどしお寄せください!

 

ご質問宛先

全国社会福祉法人経営青年会 事務局

E―mail:zenkoku-seinen@shakyo.or.jp

FAX:03-3581-7928

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