第4回 「広報のい・ろ・は」

2018.4.2

第4回 「広報のい・ろ・は」

第4回 「広報のい・ろ・は」

『ニュースとは?(ニュースの10のツボ)』

 

 

著者:大柳 満(おおやなぎ みつる)氏 プロフィール

㈱ジェーワン 専務執行役員プロデューサー

 

 1992年に㈱ジェーワン入社。携帯、家電、食品、不動産、金融、アミューズメント施設など生活導線全般にかかわる民間企業広報や商品広報、環境省や経済産業省などの官庁や自治体関連の広報業務のサポートなど、幅広い領域の得意先を担当。記者発表会や懇親会、プレスツアー等の企画立案・実施、プレスリリースやFACTBOOKの制作、マスコミプロモートなど、多種多様なPR業務を経験。2013年より、女優・タレントの東ちづるが代表を務めるマイノリティPR・表現団体である一般社団法人 Get in touchのPRを担当。身体障害、自閉症をはじめとした発達障害、LGBTs、難病など、現代社会で生きづらさを抱える「マイノリティ」への理解促進、啓発を図る。

 

 

 

◎イントロダクション

 前回、前々回は、メディアの特性について解説しました。今回は、メディアが「ニュースである」と判断するポイントを整理したいと思います。

 

 

1.「ニュース」とは

 「ニュース」とは、その名のとおり、「新しい出来事」です。

 「東京では4月になると桜が満開になります」。これは、当たり前の出来事でニュースではありません。「東京では2月というのに、桜が満開になりました」。これがニュースです。桜が咲く時期では無い2月に満開になるという前例の無いことが発生したことがニュースであり、映像や写真を使いながらその事実を報道する価値がある訳です。

 このように、メディアに取り上げてもらうため、「何がニュースなのか?」を常に広報担当者は考える必要があります。

 

 

2.「ニュースのツボ」

 メディアに「ニュース」として興味をもってもらうために、抑えるべきツボが10個あります。広報・PRを仕掛ける際には、このツボのいずれかを抑えた情報発信が効果的です。

 

1つめのツボ:意外性 (ユニークさ、斬新性、ネタ性)

 「2月に桜が満開になる」のような前例の無い意外性のある事柄は「ニュース」です。それは、多くの人が驚きを持って享受できるであろうとメディアが判断します。

<ニュース事例>

「ネットで出前受け付け」 吉野家の弁当宅配(LINE)

【概要】

  • 無料通信アプリ大手の「LINE」は、インターネットを通じて出前を受け付けるサービスに本格的に参入。大手牛丼チェーン「吉野家」の弁当を新聞の配達員などに委託して宅配するサービスをはじめた。

【ニュースのツボ】

  • 宅配の分野で人手不足が深刻化するなか、ネットを通じて、新聞配達や出前などが空いている時間を利用する「シェアリングデリバリー」を活用した今までに無かったサービス

 

 

2つめのツボ:物語性(感動性、共感性、秘話性)

 ニュースには、一つのストーリーのなかに多くの人の感動や共感を生む要素が集約されているケースがあります。

<ニュース事例>

世界から称賛される新幹線清掃員の「奇跡の7分間」

【概要】

  • JR東日本の新幹線の清掃サービス。
  • ごみ捨て、イス転回、テーブル・肘掛拭き、床面掃きなど作業の早さ・正確さが、国内に留まらず、日本を訪れる外国人からも賞賛を得ている。
  • 清掃作業時間の7分間➡「7分間の奇跡」と称される

【ニュースのツボ】

  • 清掃というスポットライトが当たりにくいテーマを日本人ならではの正確さや「おもてなし」の心づかいに感動、共感を呼ぶ点

 

 

3つめのツボ:権威性(著名性、大衆性、カリスマ性)

 人は権威に弱く、その道のプロに進められると納得感が増しやすいと言われます。

<ニュース事例>

 “フレンチの皇帝”が監修した醤油(ヤマサ醤油)

【概要】

  • ヤマサ醤油は、新商品「鮮度の一滴 グルメしょうゆ」を、フレンチの皇帝とよばれ、グルメ本で多数の星を獲得している巨匠ジョエル・ロブションに監修を依頼。
  • 同社の一般的な商品よりも、5割高という強気の価格設定。

【ニュースのツボ】

  • フレンチの巨匠という権威づけが、商品の付加価値を高めている点

 

4つめのツボ:社会性(時代性、多発性、硬軟社会テーマ)

 社会的な問題は、多くの人が関心をもっている話題であり、メディアも報道に力をいれています。

<ニュース事例>

大学生が「子ども食堂」 学び生かし食事や居場所提供

大妻女子大、食材費を補助金で 大手前大、キャンパスで開催

【概要】

  • 地域の子どもなどに食事や居場所を提供する「子ども食堂」の運営に大学が関わる事例が増加。

【ニュースのツボ】

  • 教育学、栄養学など大学の知見を生かし、それぞれに特徴のある場を作り出す。大学生にとっても知識を実践し、多様な人々と触れあえる学びの機会を創出

 

 

5つめのツボ:国際性(国境を越えて話題になる価値・異文化差異)

 国内の商品やサービスなどが、海外でも評価され、逆輸入的なニュース価値につながります。

<ニュース事例>

「マルちゃん」がメキシコで大人気(東洋水産)

【概要】

  • 東洋水産の即席ラーメン「マルちゃん」が国境を越えてメキシコで大人気になっている。
  • 「マルちゃん」という単語が「すぐできる」という意味で使われるまでに浸透。
  • 「マルちゃん」の人気ぶりを、米ロサンゼルス・タイムズが一面で報道。

【ニュースのツボ】

  • 「マルちゃん」という国民的人気の即席めんが海外でも評価されている事実

 

 

6つめのツボ:影響性(余波、発展性、模倣性、波及性)

 ひとつの現象やイベントが、様々な業界に影響を及ぼすものは、多くの人に関心をもってもらえる可能性があることから、ニュース化されやすいと考えられます。

<ニュース事例>

熊谷、暑くても心地よく 市、今夏「あついぞ!」封印

【概要】

  • 暑さで全国的にも有名な熊谷市が「暑い街」ではなく「暑いが心地よく過ごせる街」として積極的に花王や伊藤園など一般企業との連携した施策。

【ニュースのツボ】

  • 夏を表すキーワードである“熱中症対策”を訴求するため、暑さを逆手に取った自治体、企業の新しい取り組み

 

7つめのツボ:記録性(歴史性、オンリーワン性)

 様々な情報がありふれているなか、「世界一」「世界初」「日本初」という記録性は社会の関心を引きます。

<ニュース事例>

踊り間違えたら失敗… 2748人で盆踊り、世界記録更新

【概要】

  • 2017年7月22日、延岡市の夏祭りで浴衣姿の市民、2748人が地元の「新ばんば踊り」を舞い、「最多人数で踊る盆踊り」に挑むイベントが開催された。
  • 全員が浴衣とげたか草履を身に着け、同じ動作で5分間踊ることが条件で、5%が間違えたら挑戦は失敗。
  • 従来の記録は東京・八王子の2130人だった。

【ニュースのツボ】

  • 世界一の記録性

 

 

8つめのツボ:地域性(ある地域に特有な状態)

 地域特有の風物詩や伝統的なイベントには、他の地域には見られません。

<ニュース事例>

人間将棋 武者姿の駒、満開の桜の下で 山形・天童

【概要】

  • 将棋駒の生産量全国一の山形県天童市で、武者姿の人間を駒に見立てた「人間将棋」が開催された。
  • 鎧かぶとを身に着けた将棋駒役の地元高校生たちが巨大な将棋盤(縦約17メートル、横約14メートル)を動く。

【ニュースのツボ】

  • 珍しいという情報の差別化と絵になる要素

 

9つめのツボ:季節性(季節の時事に合致する事実)

 季節を感じさせるものは、比較的ニュース化されやすいです。

<ニュース事例>

「土用の丑の日」 ウナギ、今年はお手頃 稚魚の漁獲量増加で

【概要】

  • 「土用の丑(うし)の日」の25日、大阪市内の専門店やスーパーには多くの客が訪れ、ウナギのかば焼きを買い求めた。
  • 価格の高騰が続いたウナギだが、今年は稚魚(シラスウナギ)の国内漁獲量3シーズンぶりの増加でややお手頃な値段に。

【ニュースのツボ】

  • 「土用の丑の日」という夏を感じさせ、絵になるイベント

 

 

10つめのツボ:対決性(競合比較・対立軸)

 複数社が次々に参入し、競争が激化している業界・商品はトレンドを感じやすく、ニュース化されやすいです。

<ニュース事例>

コンビニ ドーナッツ戦争勃発 セブンが参入、迎え撃つ専門店

【概要】

  • セブンイレブンが「淹れたてコーヒー」の次に参入を決めたのが「ドーナッツ」。
  • 競合であるローソンやファミリーマートもドーナッツや甘いパンを拡充。
  • これを専門店のミスタードーナッツが迎え撃つ。
  • コーヒー同様、コンビニ全体に「レジ横のドーナツ」が並ぶ日も近いかもしれない。

【ニュースのツボ】

  • コンビニ大手のセブンイレブンが「レジ横」施策に「コーヒー」に次ぐ「ドーナツ」を選択したことが専門店や同業のコンビニチェーンに競争の火種を付ける予感を感じさせる点

 

 

 

 

 

------------------

「PR・広報」について、気になること、不明なことなど、どしどし質問をお寄せください!

ご質問宛先

全国社会福祉法人経営青年会 事務局

E―mail:zenkoku-seinen@shakyo.or.jp

FAX:03-3581-7928

 

 第1回~第3回コラムについては、以下よりご覧いただけます。

第1回 [広報のい・ろ・は」

第2回 「広報のい・ろ・は」

第3回 「広報のい・ろ・は」

 

  • Previous

    平成29年度 Mail News №.18

  • Next

    第4回 「広報のい・ろ・は」